安全を願うモニュメント(ここで安全を誓い坑内へ)

y.canata '09.11.16

OJT(実地型)研修会 長崎県地球温暖化防止活動推進員

 平成21年11月14〜15日、長崎県佐世保市 佐世保ハウステンボスで、長崎県地球温暖化防止活動推進員(総数97人対象)の研修会が開催された。この研修会は、長崎県地球温暖化防止活動推進センター(センター長 菊森淳文)が主催し、37人の推進員と講師2人、県の未来環境推進課2人、推進センターから5人が参加した。

 「知りたいことを伝えることで、それは初めて知恵になる」をテーマに、第1日目の14日(土)は屋外でハウステンボス内の施設の説明役と聞き手役に分かれ「聞き手(ニーズ)と話し手(シーズ)の格差を知る」実践研修と屋内会議室では、松嶋 範行講師の(現渋谷区環境保全課長)の「地域で行う環境活動とパートナーシップ」という演題で基調講演、さらに実践研修の屋内編として「ボードゲームを利用した環境教育の教授法を」加宮 利行講師(株式会社環境教育ソフト代表)から学んだ。最後に松嶋講師をコーディネーターに、各班(4班)がテーマ毎に発表し、コメントをいただいた。夕食後、午後8時からの交流会では、地域別の活動事例報告が行われた。翌15日は研修を通して得られたこと、活かしたいことなどを取りまとめながらのフリートークを行った。

 今回の研修会では聞き手が何を聞きたがっているか(ニーズ)をしっかり知った上で、より効果のある伝え方を考えないと相手に分かってもらえないということを学んだ。これまで伝え方をどれほど真剣に考えていたかというと疑わしい点もあり、認識を新たに今後の活動に活かして行きたい。
 ゲームを使った環境(地球温暖化防止)教育については、遊びの中で楽しみながら学習ができるというところがよい。加宮講師からは、子どもは自由にルールを変えて楽しむが、大人はルールにこだわるところがある。自分達で使いやすいようにどんどんルールを変えて使うことが普及させるポイントであるという話があった。これまでに学習のツールとして朝日新聞社発表の「エコかるた」を使ってきたが、これと併用または状況に応じて使い分けをしながら大いに活用して行きたい。推進センターのご努力で長崎版のエコスタイルゲームも出来上がっているので、啓発活動用として早目に配布していただきたい。

 予定された研修は15日(日)の午前9時40分に終了し、オプショナル研修の池島炭鉱見学希望者を残し解散した。


 池島炭鉱見学希望者、推進員14人と講師2人、県の未来環境推進課2人、推進センター(スタッフ)から4人の計22人は、ハウステンボスから瀬戸港へバスで移動し、船に乗り換え午前11時45分に池島港に到着。炭鉱の職員さんの出迎えを受け、昼食会場へ移動、昔なつかしい炭鉱弁当(実費 750円)をいただいた。12時40分から炭鉱の概要が分かるビデオを見せてもらった。その後、鉱山法で決められている坑内に入るための装備の取り付け方の説明を受けながら装着し終わったところで、坑口へ移動し坑内体験・見学をした。午後3時40分に池島港に戻り、4時9分池島港発、大島港経由佐世保港へ向かい5時14分に佐世保港に到着した。佐世保港から長崎行きの貸切バスに乗り換え、各人、自分の家の近くで途中下車し流れ解散をした。

 オプショナル研修は「今後増大するエネルギー消費。どうしても必要なエネルギーと、本当は削減できるエネルギーの境目はどこにあるのか?推進員として答えていくためにエネルギーの現場から学んでみようという」という目的で計画された。ところが当鉱山は2001年に閉山、ピーク時約8,000人を数えた人口も、現在は約360人。鉱山の職員も6人になり、海外(主として東南アジア)の研修生を受け入れ、日本の進んだ採掘技術を伝えているということであった。この研修生も来年には終了し、それ以降は海外に出掛けて行っての指導になるだろうということであった。

 エネルギー源として高度成長期を支えた石炭も、石油やガスにその座を奪われ、最近では地球温暖化防止対策として自然エネルギーが台頭してきた。その背景には採掘コストで外国に負けることや地下(海底)を掘り進むという事故と隣り合わせの作業であること、環境への配慮(CO2排出量の削減)などがあげられる。

 松嶋先生の話では、石炭は油と違って固体であるため運搬費用が掛る、最近は研究が進み水に混ぜて運搬する方法などが考えられている。また、炭鉱の技術はリサイクル設備などにも応用され脈々と生きているという話もあった。池島炭鉱も全埋蔵量の3分の1しか掘っていないということであった。技術革新(含む 温暖化対策)が進み、再び脚光を浴びる日が来るであろうか?

 池島炭鉱を見学して感じたのは、2001年に閉山はしたが、未だ研修施設として使われていることもあって、当時の状態がそのまま残っており臨場感があった。斜坑人車(トロッコ列車?)に乗り坑内に入って、設備を見せてもらったり、掘削機を自分で操作したり、ダイナマイトの装填法を実習したり、ヘッドランプを消して真っ暗闇の坑内を体験したりした中で、炭坑夫の方々の体力の消耗や苦労は想像を絶するものがあったであろうと実感した。また、このようにして掘られた石炭の恩恵を受け、便利な生活を甘受してきたのだという認識を新たにした。まだまだ石炭は必要とされている、世界のどこかで掘り続けている人がいると思うと、エネルギーを粗末にはできない。限りある化石燃料に代わる次世代エネルギー(循環型自然エネルギー)の開発・普及への期待は大きい。

坑内の寄せ書きに、推進員一行も感謝の気持ちを残す!

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池島鉱山 総出炭量4400ton 年間最高出炭 1985年 150万ton
よみがえる日が来るのを祈願して離島!

構外との交信体験(若い女性の方が構外の反応よし)

石炭の手掘り体験 意外と硬い

テーマ館内 ガイドさんの説明の評価も研修項目にあり(伝え方の見本)

ダイナマイト仕掛け人(実習)

ダイナマイト装填用のドリリング指導と体験

説明を聞く推進員

斜坑人車内(天井が低い)

天井に補強を入れ、50cmずつ掘り進む

坑内に研修生の子どもの作品も掲示

掘削機の説明を聞く

斜坑人車に乗り込む(海抜65mから海底へ)

職員の指導で坑内法で定められた安全装備の装着

坑内入口で記念撮影(1班の11人)

オプショナル研修会(池島炭鉱見学)

推進員の活動事例報告

フリートークで質問する推進員

2人1組 4組でゲームを楽しむ(さいころに注目) 

ゲームを楽しむ KTNテレビが取材

加宮 利行先生(ホワイトボード前)からゲームを利用した環境教育についての説明

長崎版エコスタイルゲーム(地球温暖化防止)

松嶋 範行先生 基調講演

次世代エネルギーパークテーマ館へ

ソーラー発電船で船内説明を聞く

クリーンエネルギーシップに乗船(ソーラー発電船)

研修会の模様