平成25年度の長崎県地球温暖化防止活動推進員の全体研修会は、5月25日(土)に、雲仙市小浜町の国民宿舎「望洋荘」に1泊し翌26日(日)は、東長崎(長崎市田中町)に場所を移して行われた。この研修会には長崎県内の推進員約40人が参加。長崎県の産・官・学・民が力を合わせて取り組んでいるエコ施設などを見学した。特に印象に残ったのは、全国に先駆けて取り組み実証試験の段階まで来ている無利用の温泉熱を利用したバイナリー発電装置や下水道水の処理で発生する汚泥からバイオガス(メタンガス)を取り出したり肥料、燃料として再生する装置、風力と太陽光で発電するハイブリッド発電装置などを見学した。
長崎県内の推進員は、保健所単位の10のブロックに県知事の委嘱を受けた推進員が89人おり、地球温暖化防止の啓発活動を行なっている。今回の全体研修会に続き、6月22日から長崎・西彼地区を皮切りに、7月15日の五島市まで9つの会場で地区研修会が開催される。長崎県は離島が多いという特殊な事情もあって、県内全域の会場に赴いて研修会を開催する推進センタースタッフの苦労も察せられる。
全体研修会の第1日目は、午後1時半から主催者と来賓あいさつや平成25年度事業計画(未来環境推進課 課長補佐 川原久春氏、推進センター企画局長
松本敏子氏)の説明、この夏の節電について九電のお客様センターから2人(立石次利氏、竹内公人氏)が来られて話した。次に推進員活動事例発表(小野氏、松尾氏、田川氏)があった。休憩を挟んで「小浜温泉エネルギー活用推進について」という座学(講師 一般社団法人小浜温泉エネルギー
事務局長 佐々木裕氏)のあと、歩いて10分の小浜温泉バイナリー発電所を見学し、午後6時半から夕食交流会を行なった。
第2日目は午前8時10分に望洋荘を出発し、約70分で東長崎着。長崎総合科学大学 シーサイドキャンパスで「東長崎エコタウン構想にについて」の講話(長崎総合科学大学
教授 田中義人氏)を受けた後、2班に分かれて実証試験中の省エネ設備などを見学した。
見学ルート(案内説明者)は、東部下水処理場の汚泥処理プラント(長崎市上下水道局事業部水道施設課 課長 円城寺 清氏、三菱長崎機工滑ツ境プラント部
部長 篠原信之氏、営業グループグループ長 平井信義氏)→風力と太陽光で電気を起こしバイクに充電する実験設備(総科大 教授 田中義人氏)→環境に配慮したスマートハウス(樺J川建設
萬歳直喜氏)で、ほぼ予定通りに見学が終了した。
総科大シーサイドキャンパス212講義室に戻り、推進センターのアンケートに記入し提出した。最後に菊森センター長からまとめの話があった。その後、長崎空港経由小浜までと長崎駅まで、2台のバスで送り届けてもらった。長崎駅班は午後1時20分頃長崎駅横に到着した。小浜班のバスターミナル到着予定時刻は午後3時。全日程をトラブルなく終了したのが何よりであった。
全日程終了後の212講義室で、今回中心になってお世話いただいた推進センタースタッフ 広瀬 福子(旧姓 島田)さんから「5年間、皆さんに育てられてここまで来ましたが、結婚をきっかけに、6月までで推進センターを退職することになりました」との報告があった。前日の夕食交流会で「結婚しました」という話を聞き、全員で祝福した後の思いがけない発表に、強い衝撃を受けた。彼女とは、小生が推進員2期目(1期2年)で、現在の推進センターに代わった時からの付き合いで、お互いに手探りの状態から、ああでもないこうでもないと言いながら一緒に、地球温暖化防止活動に取り組んできただけに、突然の涙ながらの報告にジーンとくるものがあった。出会いに別れはつきもの、またいつの日か会えるものと信じています。ご苦労さまでしたお幸せに!
y.canata '13.5.28
バイナリー発電所前で記念撮影 このメンバーで研修を行いました お疲れさま!
まとめ:
今回の研修会は、省エネ設備の見学が主体で、検証中や公開前の最新鋭のエコ設備を前に興味津々、楽しく研修に臨むことができた。
東日本大震災による福島原発事故の影響で、停止した原発の再稼働がままならぬ状況でありながら、再生可能な自然エネルギーの研究開発が、遅々として進まずという印象を持っていたが、今回の見学で目からウロコ。未利用温泉熱を利用したバイナリー発電や下水汚泥の減量化・燃料化・肥料化装置など、世界に誇れる省エネ設備の開発が、長崎の地で進められていることに感銘を受けた。
検証を行いながら大容量化や大量生産体制の確立(安価な製品造り)にも取り組み、商品化を進めて日本の資源問題や世界の環境問題解決の一翼を担ってほしい。期待しています。
ワークショップ 「推進活動での悩み・課題共有」 左写真は実施要領の説明をする広瀬 福子(旧姓 島田)スタッフ 右写真はグループ発表の様子
推進員活動事例発表 上五島地区 小野 敬氏
推進員活動事例発表 長崎地区 松尾 維典氏
推進員活動事例発表 佐世保地区 田川 久美子氏
小浜町南本町公民館⇔バイナリー発電所見学
宿泊先 国民宿舎「望洋荘」
主催者あいさつ 推進センター長 菊森 淳文氏
来賓あいさつ 未来環境推進課 課長 前田 茂人氏
太陽光と風力のハイブリッド発電装置
右は発電量の計器盤(充電器) 説明者は田中義人教授
写真はエコキュート 太陽光発電、高効率エアコン、蓄熱暖房、
LED照明、ペアーガラス、雨水タンクを設置するなど省エネ付帯設備づくし
製塩所(温水で水分を蒸発)
左写真から制御盤、発電機(青い囲いの中)、配管 発電能力700W×3基
7班に分かれてのワークショップ 熱心な討議がなされた(画像をクリックすると拡大)
スマートハウスの説明をする樺J川建設の萬歳直喜氏
天然材の使用や断熱、屋根形状、風通しの良い家などを配慮した設計
樺J川建設、長崎総合科学大学共同研究のスマートハウス―究極の省エネ住宅を目指して5年間の共同研究を行う
水熱反応器の配管
装置の前で説明する 篠原 信之部長
発電所内部(画像をクリックすると拡大)
下水汚泥の減量化・燃料化・肥料化 ゼロ・エミッションプラントの説明
三菱長崎機工滑ツ境プラント部 部長 篠原 信之氏
東部下水処理場の説明
長崎市上下水道局事業部下水道施設課長 円城寺 清氏
東長崎エコタウン構想についての説明 総科大 教授 田中 義人氏
温泉熱で沸点の低い代替フロンを蒸化させてタービンを回し発電
入口壁面のパネルで女性職員が説明
バイナリー発電所全景 右端は温泉熱を利用した製塩所
他グループの課題と対策に
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ワークショップ全景
長崎総合科学大学シーサイドキャンパス⇔東長崎エコタウン(各種設備見学)