2016カンボジア支援の旅は、コミュニティ時津からの参加者が2人。現地ではNPO法人「テラ・ルネサンス」の駐在員、江角氏他4人が加わり活動した。

 現地のノリア孤児院の岩田さん、テラ・ルネサンスの江角さんに、活動スケジュール、宿泊・交通手段など手配いただき、スムーズな動きができた。

 11月29日()朝、福岡空港出発、その日はシェムリアップ泊。

 30日から活動開始、3時間かけてバッタンバンへ移動、ノリア孤児院がオープンしたカフェ「H.O.C」で昼食、郊外のノリア孤児院を視察訪問。昨年少し停滞気味だった農業が、息を吹き返し、畑にはオクラ・ナスなど、また水耕栽培では葉物野菜が順調に育っていた。カフェと孤児院の運営がうまく噛み合い始めたのではないかという印象。カフェ「H.O.C」は、朝8時から営業しており、朝食・昼食時は欧米人の旅行者、近隣在住の日本人で、ほとんどのテーブルが埋まるほどの繁盛だった。

12月1日からは、テラ・ルネサンスのスタッフと共に終日活動。車2台に分乗して出発。まず支援物資を購入、カムリエン州ロカブッス村に向かう途中で、診療所に立ち寄り、今回預かった介護研修生の制服3着とタオル・石けん類をプレゼント。大変喜んでいただいた。以前ソーラーを設置していたので、その様子を確認、電気は購入できるようになったが、価格が高いのでソーラーの方をメインに使ったらどうか、とアドバイスした。また包帯などの衛生用材が不足しているとのことで、現金100ドルをお渡しした。

 ロカブッス村では灌漑設備の状況、家庭菜園などを視察。子どもたちにフランスパンとキャンディ、段ボール箱の文具品を手渡ししながら、教会のミーティングに参加した。
 灌漑設備のおかげで野菜ができるようになり、畑で取れた作物を袋詰めにして販売、一日7ドルも利益を上げる人もいる。テラのメンバーには、新しく農業指導の先生も加わり、大きな紙に書いた指導内容を見せながら講話、持参した野菜の種を希望者全員に分けて、未来に繋がる農業を目指している。しかし昨年勢いよく汲み上げていたポンプは不調で、ブヨブヨのホースも破損して水漏れが発生する恐れがあるなどで、新しく塩ビ菅が欲しいというお話があり、とりあえず菅を購入しようということになり、翌朝町の店に向かうこととした。

教会のミーティングでは、昨年使い方を指導した簡易ポンプを2個追加贈呈し、共用できるようにした。暗くなりかけてその日の活動を終了。

 2
日は再び村の人たちと共に塩ビ管の購入に向ったが、価格面で折り合わず支援金をテラ江角氏に託すことにした。

 ロカブッス村に向う途中、新しくできた24世帯の村に立ち寄る。地雷撤去が終了した小山のすそ野で、まず子どもたちのための学校・幼稚園を作り、教師を近くの村から派遣してもらっていた。大人たちには農業指導を実施、既にいくつかの作物が芽吹いたり、食用になったり、換金作物になったりしていた。同時に溜め池づくりも指導、今年は間に合わなかったものの、雨季の間溜まった水を年中使えるように工夫がされていた。

 その後、地雷被害者の家を4軒訪問、コメ・フランスパンを差し上げた。その内のお一人には15ドルの現金も援助。次に、プレアプット小学校を訪問予定だったが、この日は休日で直接子どもたちに手渡すことができず、後日のお届けをテラのスタッフにお願いした。

 夕食はノリアに来ていた研修生の女性二人も加えて岩田さん・江角さんと私たちと6人での「鍋料理」となり、コミュニティ時津の会員からのカンパを使わせていただいた。テラのスタッフ江角さんに灌漑用の資材の経費として1000ドルをお渡しし、帰国後あと1000ドル送金することで了解いただいた。

 3日は9:00にホテルをチェックアウト、ノリア孤児院への支援品の買出しに行き、11:00頃ノリア孤児院へ。お米・洗剤類を届けて14:00タクシーでシェムリアップに向う。

 4日は9:30ホテルを出発、昼前の便でシェムリアップ空港から首都プノンペンへ。空港でタクシーをチャーター、「礎の石孤児院」に届ける支援品を購入、昼すぎに孤児院を訪問した。
 
 今回は日曜日で子どもたちとも交流。大学進学や就職など順調な成長の過程の報告をいただいた。子どもたちが自立できるようにとのしっかりしたプランづくりに頭が下がる思い。現在は子どもたち23人が暮らしている。

 予定の活動をすべて終了、帰途に就く。

 現地では電柱、電線の敷設がすすみ、各家庭でも電気が使われるようになっているが、タイから購入しているらしく、かなり高額な支払いだそうだ。改めてソーラーパネルによる電気の供給が見直されている向きもある。

 水の供給についてはまだ未整備で今後の課題。10年前に比べれば生活もやや改善され、学校の環境整備も進んできている。環境美化も意識されるようになったが、他に依存する気持ちから真の意味での自立意識が必要かと思う。

 2つの孤児院の子どもたちに再会して、彼らの成長に応じた別の課題への支援も含め、今後も見守っていきたいと思う。
                                                太田 千賀子 記

 2016 カンボジア支援訪問 活動の概要
 11/29
(火)
 7:40 昭和町 福岡空港行きバス乗車
11:40 福岡空港出発   <出国手続>
    バンコク着 
18:25 (現地時間) バンコク発
19:45 シェムリアップ着 <入国手続>

20:00(トゥクトゥクお迎え)シェムリアップ
   (宿泊)シェイモアホテル
 11/30
(水)
 9:00 シェムリアップ出発(タクシー)⇒ 
12:00 バッタンバン 着 H.O.C(岩田さんカフェ)昼食

16:3017:30 ノリア孤児院訪問視察
18:0021:00 夕食(江角・岩田)
          (宿泊) ホリディホテル
 12/1
(木)
 8:00 H.O.C朝食 9:00バッタンバン 出発 (テラ車両)
    支援品購入(飴・米・フランスパン・簡易ポンプ・ホース・部品)
     <途中昼食>⇒診療所(産院)訪問(ソーラー設備点検・支援品手渡し)
     カムリエン州
   (ロカブッス村灌漑設備・家庭菜園・教会ミーティング参加)
    <支援品手渡し>
⇒パイリン(夕食・宿泊)バンブーホテル
 12/2
(金)
 9:00 パイリン 出発 (テラ車両)
   地雷被害者宅訪問4軒(飴・コメ・フランスパン)

    プレアプット小学校<休校のため支援品はテラに預け>
   ⇒バッタンバン 夕食(ノリアの研修生女性2人含め6人)

    (テラへ支援金贈呈)    (宿泊)ホリディホテル
 12/3
(土)
 9:00 H.O.C朝食
10:00 ノリア孤児院用支援品買い物(サオリ)
11:00 ノリア孤児院へ

   14:00 ( タクシー)シェムリアップへ (宿泊) シェイモアホテル 
 12/4
(日)
 9:30 ホテル出発(~空港:トゥクトゥク)
11:15 シェムリアップ出発

12:00 プノンペン  着(タクシー)
    支援品購入(コメ・各種調味料)

14:00 「礎の石孤児院」訪問(タクシー)
19:25 プノンペン出発 <出国手続>
21:15 バンコク  着
 12/5
(月)
 1:00   〃    出発
 8:00
(日本時間)  福岡  着 <入国手続>  
 記録:太田 千賀子
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y.canata 2016.12.16
カンボジア支援訪問記
 NPO法人コミュニティ時津の「カンボジアの恵まれない子どもたちへの支援活動」の一環として、友岡 純一 副理事長と太田 千賀子 理事(事務局長)が、カンボジアを訪問し、皆さんから預かった支援物資を直に手渡したり、これまでに支援又は贈呈した設備の使用状況を確認、点検整備を行ってまいりました。

 11月29日(火)から12月5日(月)までの訪問でしたが、今後の支援方針を模索するなど有意義な訪問でした。以下、両理事の紀行文を紹介し、ご支援いただいた皆さまへのご報告とさせていただきます。
友岡  純一 副理事長
カンボジア紀行2016
1日目

長崎を早朝出発し、福岡空港からバンコク経由で、アンコールワットのある都市シェムリアップに到着。すでに周りは暗く、ホテルで夕食を取る。

太田 千賀子 事務局長
カンボジア訪問の足跡
子だくさんの家族。パンを美味しそうに食べる子どもたちと記念撮影。

4日目

プレアプット村へ行く。国境のある村で、この村の人々は、隣国のタイへ検問も通関もなく往来している。

訪問団は、地雷の犠牲者宅に、毎回、100㌕(5家族分)の米を贈っている。

地雷は深刻な問題で、今でもカンボジア国内で、年間150~160件の事故が起こっているそうだ。

3日目

テラ・ルネッサンスのスタッフと合流し、コムリエン州へ向う。

途中、診療所へ立ち寄る。
ここでは皆さんから寄せられたタオル300枚と医薬品を贈る。
この診療所には、以前、ソーラー発電を設置したので、使用状況を確認したが、大事に使い順調に稼働していた。診療所には、ちょうど本日が出産予定の若い夫婦が待っていた。元気な赤ちゃんが生まれることを願って診療所を後にした。

それからロカップス村へ。ここでは支援した灌漑設備を使って野菜の栽培を行っている。
あるご婦人は、自分で作ったトマト・ナス・ヘチマを売り、日々5~7ドルの収入を得ている。今回は、2次揚水ポンプ(ソーラーシステムで作動)を2セット贈った。

テラ・ルネッサンスのスタッフは、村人に野菜の種を配り、栽培の指導をしていた。

2日目

バッタンバンへ車で、3時間の道のりだ。
右も左も地平線しか見えない、直線道路が数キロも続く。

まず、「レストランカフェ」へ行き昼食をとる。ここでは孤児院出身の子ども(もう大人)が、5人働いている。開店2年目で採算ベースに乗ったそうだ。

昼食を済ませ孤児院へ行き、子どもたちと会う。現在25名が在籍し、DV避難の母子もいた。
ここでは支援品の井戸ポンプと送水パイプを使って、いろいろな野菜が栽培されていた。

孤児院のスタッフは「先日、2歳の子の具合が悪くなりシェムリアップの子ども病院へ連れて行った。前日の夜に出発し、朝4時から病院の前に並び順番を待って、診てもらえたのは夕方。この病院は無料なため、全国各地から毎日、数百人の子どもが来る。現在日本での乳幼児の死亡率は1000人に23人であるが、カンボジアでは1000人に120人になる」という話しをされた。

医療制度・医療施設の充実が急務ではないかと感じた!

友岡 純一 記
カンボジア支援訪問の感想と反省
この子たちに未来をとの思いを残し帰路についた。
プノンペンの「礎の石孤児院」

6日目

1999年(平成11年)から毎年訪問しているプノンペンの「礎の石孤児院」へ、米・砂糖・塩・油・ニンニクを贈り今回の予定を終えた。

小学校(寺子屋風)の授業風景、右の写真は算数の教科書。(クリックすると拡大)

5日目

小さな小学校を訪問し授業を見学する。

子どもたちへ 鉛筆・ノート・アメ・パンを配る。次回訪問時には、この学校へソーラー発電装置を贈る予定。

写真左から灌漑用水のパイプライン、収穫した野菜を売る婦人、贈った灌漑用材料の前で集会をする村人。(クリックすると拡大)
右の写真は、診療所の屋根に設置したソーラーパネル。ソーラー発電は、出産時の照明などで大事に使われている。
水耕栽培のレタス
立派に生長したナス